ところでなが〜い前置き

前ページの写真を見てセンターのピンク色のインジケーターが相当目立っています。

気になりますよね? ね?

と言うワケでまず前置きとしてそこから説明いたします。

このランプ、商品名をドリームライトと言いまして、かつて東京ラジオデパートの2Fにあった瀬田無線で販売していましたが、販売停止後にゼンゼン売れないのであげる!と言うことで2つほど頂きました。

データシートを見るとネオンランプ等ではなく何と直熱2極管でした。おそらくこの明るさを確保するために、メーカーはこのような構造にしたものと思われます。

しかしこの明るさが困ったことに適当な用途が思い浮かばず、しかも中途半端なプレート電圧とフィラメント電圧が必要で、こりゃ売れないワケだ、と納得しました。

でも妖しいピンク色はキレイだし、このまま保管箱に眠らせておくのもと思い、今回ヒーターインジケーターとして使ってみましたが、思った通り真空管の光が目立たず台無しでした。

25E5も決してヒーターの暗い球ではないんですが、写真でも露出がドリームライトに引っ張られてゼンゼン目立ちません。

せっかくこのランプに合わせてシャーシーもつや消しピンクに塗装しましたので、しばらくはこのまま使う予定ですが、そのうち他のランプに変えるかもしれません。

穴サイズを変えなくても良いとなると、ウチにある候補としてはマジックアイと言われているインジケーター管の6977/DM160あたりでしょうか。

これならサイズ的に穴加工なしで変更でき、暗くて左右のネオンと違う色なのでひと目で動作状態がわかります。しかしこちらも中途半端な電圧を用意するのが面倒です。

まったく、LED全盛時代に何やってんだか・・・



 

ヒーター印加時に点灯するピンク色のドリームライト。左は+B電圧印加で緑のフローランプが点灯、右はラインフェーズセンサーのネオンランプ。意地でも違う色の放電管で揃えたかった。




候補の6977/DM160。これなら薄暗くてアンプの雰囲気をブチ壊さない。いずれ変更しようかとブレッドボードで急遽点灯実験をしてみた。


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25E5
Base
Octal 8P
Eh/Ih25V/0.3A
最大定格
Eb550V(cut off)
Ploss11W(但しC2lossによる)
Ec2250V
C2loss5W(但しPlossによる)
Rg12.2MΩ
Eh-k+250V, −200V

25E5プレート特性曲線

当初の基準動作点。8Ω基準で設計している。実際には少しずれている。この電圧だと87mAを超えたあたりでプレート損失をオーバーする。


プレートのマイクロコイル

マイクロコイルはプレートキャップの根元に取り付けている。


通常の4パラ動作

↑ オーバーロードインジケーター全点灯時。スレッショルドレベルを下げ、ワザと点灯させて撮影。通常は点灯しない。


 

本題

さて、本機の概要です。また25E5を使うとなるとPTLにしたくなります。但し今回はOTLとしてはベーシックな単一電源・3結にします。

これは調整不要で出来るだけ余計な手間が掛からなくしたいためです。実験機では5結でSG電圧を高く取りパワーを得ていましたが、SEPP上下のプレートとスクリーングリッド電圧を別々に用意するとバラ付きで調整が面倒と感じました。

今回はパラにしますのでそこまでしなくても実用出力は得られることと、なるべく簡素化、調整箇所をへらすことを優先し、使用中に余計なことを考えなくても良いアンプにしたいためです。

とは言えSEPP上下のバランスを無調整で合わせるのは難しいため、フロントパネルとリアパネルに窓をあけ、バイアス調整のバリオームだけは付けています。

パラレルなので25E5の各G1、G2には保護抵抗を入れ、プレートにもコイルを入れています。プレート側のコイルはいつもなら抵抗にエナメル線を巻いて作るところですが、16個もあると手間が掛かるので、今回は市販のマイクロコイルを使いました。

とは言えパラレルにするとどうしても暴走問題が出てきます。25E5は6080系と違ってそこまで気にする必要はありませんが、電流監視ぐらいはしないと心配になります。

自作マニアでもメーカー製でも電流計を付けているアンプが多くあり、監視としてある程度の役に立っていることは解ります。
しかし個々の球の状態を見極められるワケではないので、完全とはいきません。

本気でチェックしようと思ったらパワー管16球分、個別にメーターを付けないといけません。現在は小型のデジタルパネルメーターなどが安価に手に入りますから、やってやれないことは無いと思います。

しかし16個もメーターを付けるのもスマートではないし、何より数字や針が大量に並んでいると、パッと見てどの球が暴走しそうなのか判りません。

そこで各25E5の根元に高輝度LEDを配置して、プレート+スクリーングリッドの損失を超えた時に光るオーバーロードインジケーターを装備しました。これなら一瞬でどの球の電流がオーバーしているか解ります。

具体的には3結なのでプレート+スクリーングリッド、つまりカソード電流を検出してオペアンプによるコンパレーターに入れ、LEDを駆動します。

使用したコンパレーターはオープンコレクタタイプですが、普段は異常がなければ点灯していないハズなので、消費電流を抑えるため抵抗でプルアップにはせず、LEDを直接駆動しています。

これでどの球が危なそうかひと目で解りますので、とくに保護回路は設けませんでした。
どのようにパラOTLアンプが暴走するのか解りますので、一度は見てみたいもんです。(。_゚)〃 ドテッ !

出力端子のDC漏れ対策

本機は単一電源で電源接地化していますので、出力はOCLとはならず、ケミコンを入れています。

こちらも本来音質にはマイナス要素ですが、出力トランスよりはマシ、スピーカーに絶対DCが流れず安心、ムカシよりケミコンの性能が上がっている、などの理由から採用しました。

このケミコンは低RLの場合、計算上はかなり大容量が必要なので、最初は1250uFを入れていましたが、大容量は充放電時間が掛かり、スルーレートが落ちますので、実験で徐々に小さくして行き、最終的にはそこまで必要ないことが解り、220uFに落ち着きました。この位なら現在は高音質コンデンサーが選べます。



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前段の回路

今回はベーシックなOTLを味わってみたかったため、オーソドックスに6267/EF86の5結で電圧増幅後、12AU7/ECC82によるカソード結合型位相反転、その間は直結でいわゆるムラード型にしました。

6267/EF86はHi-Fi用途に開発されただけあって、Cp-gが小さく広帯域、内部シールドがプレートを覆っているため別にシールドケースが不要、バイファイラ巻きヒーターやスプリングマイカが使われており、ローノイズ・ハム、高音質で本機のような初段にはピカイチの性能を持った5極管です。

これまたオーソドックスですが、打ち消し電圧も12AU7のプレート側にブートストラップで注入し、ほぼB級動作なのでNFBも19dBほど(OTLにしては少ない?)掛けています。

OTLって古いのに近代的なイメージがあるので少しウェットな音にしたく、カップリングコンデンサーには少々レトロなスプラグのビタミンQを使いました。

ビタミンQはハーメチックシールドが余程しっかりしているのか、当時の日本製のオイルコンに比べても劣化がほとんど無く、LCRメーターで見てもゼンゼン大丈夫でした。

電源回路

PTLなので本機は大容量ケミコンによるラッシュカレント対策として長年死蔵していて他に使う予定がない遅延リレーを使いました。

前段のヒーターとコンパレーター回路への電源供給は以前買い置きしてあったAC-DCコンバーターを使用しています。

SEPP中点を基準にする必要があるのと、直結のため12AU7へヒーターバイアスを掛ける必要があるため、AC-DCコンバーターは3組必要(アース側はLR共通)です。

しかもコンバーターの1次2次が絶縁されていて、なおかつバイアス電圧印加に耐えられるなどの条件が必要でしたので、予備実験を行い採用するに至りました。

このコンバーターは現在販売されておらず、在庫も無くなりましたので、同じアンプは再現不能です。

ラインフェーズセンサー搭載もいつものことですが、正極で点灯しっぱなしと、センサー部に触れた時だけ点灯を選べるようスイッチも付けました。

なお、コンパレーター調整時に安全のためB電圧を切りたいため、内部にメンテナンススイッチを設け、高圧が切れるようにしてあります。

 

パラレル切替え

後付けで考えた機能ですが、SEPP-OTLは大消費電流が必要と言う概念を打ち破る(大袈裟な・・・)機能を搭載しました。

本来SEPP-OTLはB級動作が多いので、アイドリング電流は大変少なく省エネなハズですが、聞くところによると家のブレーカーが落ちる、などと言うことを良く聞きます。

おそらく大出力アンプでパラにしたことによる消費電力増大が原因だと思いますので、本機ではパワーが必要ない、つまり小音量で聞く時にはパラにしないなど、スイッチでヒーターをオフにし、数パラを休止できる機構を付けました。

4パラなので4列のSEPP段があるワケですが、その4列にオン-オフのスイッチを付け、任意の列だけオンにできるようにしました。

但しそのままではNF量が変わってしまい性能が大きく違ってしまうため、NFBもロータリースイッチで1〜4パラ時の切替えをし、何パラでもNF量が変わることがないようにしました。

もちろん回路上では休止しているSEPP列もぶら下がっているので音質が低下するかも?とか、冷極に高電圧が掛かってるなど悪影響も考えましたが、やってみない方の後悔よりやってみる、と思い、後述しますが結果大成功でした。

パラレルSW

↑ パラレルスイッチはNFB量切替え、黒いプッシュスイッチが25E5各列のオン/オフ。これらは動作中に切替えても問題ないが、ついクセで動作中にあまりいじらないよう初段と位相反転段の間に取り付けている。




25E5paraSEPP-OTL回路図

黒字青字=設計値、緑字赤字=実測値
回路が多くて煩雑になるため信号部の片チャンネルとコンパレーター回路のもう1組は同じ回路なので省略してある。

→ 使用部品と製作編