測定結果

6BM8の標準動作電圧ですので妥当な数値と言えます。
アウトプットトランスの投入損失が-1dBありますので、1次側で約3.4Wの出力があるものと見なせます。

定格動作よりも電流を絞っているので、この出力は充分頑張っている数値だと思われます。

クリッピングポイントは入力0.7V/出力2.4Wのところ、最大出力は左チャンネルで3Wちょうど、右チャンネルで2.9Wでした。




歪率です。中高域は思ったよりも低歪率です。100Hz(とくに右側)の歪率が悪いのはアウトプットトランスのインダクタンス低下によるもので、これも予想通りです。 しかし元々人間の耳には低域より高域の方が歪みに対して気にしやすく、思ったより耳障りな感じはしません。ギターアンプでしたら理想の歪み特性と言えます。




周波数特性です。1V(0.125W)と最大出力付近の2W時を測定してみました。

この小さいシングルアンプ(と言うか小さいアウトプットトランス)で、この低域特性は驚異的です。

これは強力に帰還が掛かっている証拠です。さすがに最大出力付近ではどうにもOPTの伝送特性から見ても耐えられず、低域の低下は大きくなっていますが、実際の音はそれを感じさせない力強さがあります。
未だかつてこのような小さいアウトプットトランスで、ここまで低域が伸びているアンプは見たことがありません。超3結、恐るべしです。しかし100Hz以下は波形の乱れが大きく、歪率通りの特性です。

右チャンネルはこのグラフでも2つの小さなピークが見えますが、この他に775kHzと1.2MHzにもピークがありました。但しそれほど急峻なものでは無く、安定性は問題ありません。




ダンピングファクターです。左チャンネルで平均4.26、右チャンネルで平均4でした。これぞ超3結と言う特性です。

高域は徐々に低下していますが、スピーカーの制動を上げたいのはもっぱら低音ですので、これも問題ない特性です。
むしろ高域はあまりダンピングファクターが上がらない方が真空管らしい柔らかい音になるので、これも理想的な特性かも知れません。




音は?

巷で超3結が評判になっているわけが解りました。

サイズからは想像できないスケールの大きな音で、ロックでもいけます。やはり低域特性は基本です。歪率の数値を感じさせない説得力があります。

アウトプットトランスは6BM8の標準動作である5kΩで使っていますが、7kΩ端子もあるため、ダンピングをもっと上げたい場合は変更できます。しかし現状でも充分不満無く鳴ってくれていますので、このまま常用してみることにしました。
製作後の雑感

超3結は素晴らしい回路だと解りました。5極管やビーム管の銘球を進化させるだけでなく、考え方によってはプレート内部抵抗が高すぎてHi-Fiには不向きとされていた6Z-P1などのラジオ球にも応用できるのではないでしょうか。

今回の好結果に味を占め、たぶんそう遠くない将来に、また超3結のアンプを作ることになるでしょう。どのような球の選定になるか今から楽しみです。




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