出力管の代表規格
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Outline 今回のアンプはパソコン用としてデスクサイドで使うことを目的としていますので、まずはサイズから決めて掛かりました。 16A8プッシュプルアンプと同じか小さいサイズにしなければなりません。シングルアンプでしたらそれほど悩む大きさにはなりませんが、放熱に影響するほど小さくしたくはないので2段増幅の余裕を持ったレイアウトにします。 前述したように6GA4が貴重と言うこともあって6F6GTと6V6GTも使えるようにしました。その場合3結にした方が音の違いを確かめられると思いますが、出力が大幅に変わってしまうと使いづらくなるため、UL(Ultra Linear/ウルトラリニア・以下ULと略します)接続となるようにし、6GA4と音量差が無くなるようにしました。 デスクトップで使うスピーカーは大抵は小さいものですから、低音不足を補うためにローブースト回路も付けました。今回はパソコン用と決まっているため入力は1系統で良く、16A8PPで付けた入力セレクターは付けないことにします。 上記のようなアウトラインで規格表には無い6F6GTや6V6GTのUL接続時のデータをとるため、一気に3台作らず、まずは1台だけ試作してみることにしました。 当初はビーム管との挿し替えを考えていなかったため直結回路で考えていましたが、色々な球と挿し替える場合、切り離さないと動作確認が面倒ですので、通常のCR結合とします。 パワー管の電力感度が良いのでNFBマージンも含めて1段増幅でも充分なゲインが確保できます。そこでドライブ段は12AT7によるSRPPとし昭和後期の近代管にふさわしく低インピーダンスドライブとしました。 今回はシミュレータを使って設計をしているため、回路図の設計値は中途半端な電圧表示をしていますが、実際には球のエミッションで大きく変わるのであまり神経質に追求しないようにします。 |
出力段 6GA4、6F6GT、6V6GTを挿し替えるので各パワー管の最大定格を調べ、そこから少し余裕ある動作点を考えます。ビーム管はUL接続にしますからスクリーングリッドの電圧がそのままプレート電圧の最大電圧にもなりますので285V以下、プレート損失から計算すると結局はメーカー動作例の250V前後に落ち着きました。 EL34/6CA7プッシュプルアンプでもKT88や6L6GCと挿し替えられるようにしましたが、スイッチ切替とバイアス再調整の必要があると結局は面倒で挿し替えもしなくなってしまいました。 これは大きな反省点で、球の挿し替えは無条件でできないといけません。今回はセルフバイアスとし、挿し替えるだけで一切調整も必要がないようにしました。 |
ところでオクタルベースですとパワー管の種類が多く、他の球も使いたくなりますが、6GA4メインで考えているアンプのため、1番ピンをアースにする必要があるメタル管の6F6や6V6は使えません。EL34/6CA7はサプレッサグリッドの接続違い、KT88はピン接続よりもヒーター電流オーバーのためやはり使えません。 これらは切替スイッチを付けたりヒーター電流の多い電源トランスを使えば使えるようになりますが、小型のデスクトップアンプがコンセプトですから、大げさにしたくないので見送りました。 6L6GCと6GB8は使える可能性がありますが、テストしていません。ゆくゆくは検証してみたいと思います。 また、小さいアンプほど移動して他のスピーカーで使うことも考えられるため、他のアンプでも便利だった出力インピーダンスの切替スイッチもリアパネルに装備しました。 |
電源部 小さく作るためシリコンダイオード整流としました。そのため整流管の時よりケミコンの容量を多めにできますのでSNは確保しやすいです。 パイロットランプ代わりのLEDはチラツキを嫌ってわざわざブリッジ整流とケミコンで平滑までしています。シリコンブリッジは50円、ケミコンや抵抗は手持ち保管品ですから、ここまでやってもコストはほとんど掛かりません。 |
電源トランスとチョークコイルは出力トランスとメーカーを合わせることにします。試作品ではラックスで統一しました。 電源回路自体は普通のπ型フィルターでシンプルです。A1級動作のアンプですのでこれで充分です。 |
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