測定結果

色々測定して大量にデータを取ったのですが、試作でかなりいじくりまわしたため、情けないことにどの時点の測定結果が解らなくなってしまいました。

整理整頓は大事です。本作はしっかり記しますので、試作の測定結果は参考程度に見てください。

色々テストした結果、初段は12AT7→12AX7に変更し、NFB量は当初の-3dBから-6dB、最終的に-8dBで落ち着きました。

下記測定結果は全て変更してからのデータです。

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左図は入出力特性です。左右チャンネル共ほぼ同じでしたので、見やすくするために左のみ表示しました。

6V6GTが一番感度が良く、次に6GA4、6F6GTが一番低感度ですが、わずかの差で差し換えても音量差が違和感ありません。ビーム管はUL接続で正解だったと思います。

クリップし始めるのは入力1V時でその時の出力は中間の6GA4で2.7Wでした。NFB量は-8dBに設定しました。2ケタ掛けるより必要最低限にし、これより入力感度が低くならないようにしました。

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右図は6GA4左チャンネルの歪率です。8dBのNFBを掛けていますが1W時に1.5%程度です。

昭和30年代の出力管はハイパワー全盛時代で、とにかく出力優先、プッシュプル用に開発され、歪はウィリアムソンアンプの流行もあってNFBに頼る時代でしたので、シングルでこの程度は当たり前だったようです。

アウトプットトランスが小さいので(これでもSS5B-5は大きい方ですが)低域の方がインダクタンス低下で歪みが多く、高域の方が少ない結果になっています。

6F6GTと6V6GTの歪率は測定に時間が掛かるので本作後に掲載します。





周波数特性とローブースト特性です。全て左チャンネルです。測定機材はDCから測れますが5Hz以下は誤差が大きいので信用できず、いつも計測していません。

ラックスのSS5B-5は素直なカーブで良い結果が出ました。ビーム管のUL接続では95kHzと180kHzあなりにピークが現れます。グラフ外でも413kHzで-23dB、2.1MHzで-43.5dB程度のこぶがありました。
ピークはトランスの個体により周波数が上下しますが、SS5B-5は割と揃っている方で位相補正もしやすいです。

ローブーストカーブが2つありますが、当初ローブーストのボリュームを設計値の500kΩBカーブで製作したところ、回転角による変化が不自然で聴感上良くなかったため、100kΩAカーブに変更しました。ブースト量は減ってしまいますが、この方が自然な感じです。




ダンピングファクター特性です。可聴帯域平均は6GA4で4.6、6V6GTで3.2、グラフにはありませんが6F6GTで2.5でした。3極管かビーム管のUL接続かの差はダンピングファクターが一番良く出ています。 シングルにしては6GA4の数値と6V6GTの数値は上出来で、とくに6V6GTはUL接続であることを考えると際立っています。



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試作品の結果

6GA4は昔、測定機材もほとんど無いころに作り、すぐに飽きて短期間で放置してしまったため、詳しいことが解りませんでしたが、これほど歪みの多い球であるとは思いませんでした。他のアンプビルダーの方がほとんど2ケタのNFBを掛けていたのもうなずけます。

それでも第2次高調波がほとんどのため、超感上は悪くありません。

試作テストの結果を受けて本作ではNFBを-8dBにすることとし、それに伴って入力感度低下を防ぐため実験通り初段を12AT7から12AX7に変更することにします。


他に気になった点では、超高域が盛り上がる現象があり、NFB巻線を逆にしたり位相補正を多めにしても直る様子が無く、よく調べてみるとローブーストVRとNFB抵抗の入れる位置が問題であることが解りました。

たまたまNFB巻線のあるラックスの出力トランスを使ったため安定で発振に至らず、原因発見に時間が掛かりました。これも本作では修正します。

6V6GTと6F6GTの結果ですが主にプレート電流・スクリーングリッド電流をチェックして無理のない動作であることを確認しました。ほぼ6GA4と同じ出力となり、挿し替えてもほとんど違和感のない音量でしたのでこのままUL接続で行きます。詳しいインプレッションとデータは本作後に明記します。



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これから本作

ここからは3種類の本作データをパラレルに表示します。

 


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