測定結果

改造により動作特性がだいぶ変わったため、全項目で再測定をしました。

但し前回と違って今回はゲッタの非常に薄くなった6RA8で測定してしまいました。

イコールコンディションではないため正確な違いの比較にはなりませんが、それでも結構良い数値を叩き出してくれました。

改造後の裸ゲインは左17.3dB、右16.4dB、NFB量は左-5.2dB、右-4.8dB、トータルゲインは左12.0dB、右11.6dB、残留雑音は左1.04mV、右0.66mVでした。


 

これらの特性だけはゲッタの多い6RA8でも測定し、全てもう少し低いゲインになりました。エイジングしたら上がってくるかも知れません。

プレート損失は設計値12.17Wに対し、実測約12.5Wでした。前回より実測で約12%増えていますが、最大定格の83%ですので許容範囲です。

消費電力は63Wに増えましたが、こちらもまだ6RA8にしては低消費電力です。




初段のRLを小さくしてゲインが落ちた分、終段のバイアスを浅くして入力感度が上がり、トータルゲインで見ると改造前とたいして変わっていません。

  但しクリッピングポイントは少し上がり、波形がつぶれ始める1.42V入力時で3.8W出ており、バイアス最適化の効果が出ています。




周波数特性も改造前とたいして変わっていませんが、僅かに10Hz以下の低域は伸びています。


  ピークは減ったのに低域10Hz以下が全体的に2〜3dB上がりましたので良い傾向です。




バイアス最適化による効果が一番出たのは歪率です。とくに使用頻度の高い0.05W〜3Wのあたりは全ての周波数で約半分以下になっており、とくに低域は顕著でした。

  グラフは見にくくなるので前回と同じ左チャンネルのみの表示ですが、右チャンネルはもっと下がり、100Hz・1W時は0.96%から0.34%に下がりました。




ダンピングファクターはほとんど変わらず、4前後です。カーブが前回と違って見えますが、6RA8数本を挿し替えてみるとコロコロ変わるので、球のエミッションによるところが大きいです。

  そのため左は少し上がっており、右は少し下がっていますが、これも球を挿し替えるとコロコロ変わりました。

● ● ●


改造後の感想

あ、そうそう、前ページで言い忘れましたが、抵抗交換で熱によるノイズは完全に消え、時間が経っても大丈夫になりました。やはり古い金属皮膜抵抗が原因でした。

肝心の音ですが、歪率が下がった結果、さらに音が良くなった・・・と明確には感じられませんでした。改造前と同じように豊潤で満たされる音です。

 

 

そもそも今回は温まり後のボソボソノイズを修理するつもりで、ついでに気になっていたバイアスも変えてしまおうと改造したワケですが、これだけ動作の守備範囲が広いと無帰還でも良さそうな気がしてきました。

となると入力感度の低さが少し気になっているし、次はNFB外しの改造をするかも?・・・と言うワケで12GB7/25E5PPアンプをいじり倒してしまったので、こちらが当分はいじって遊ぶアンプとなりそうな気がします。



写真は底板の改造前。改造後は両サイドにも放熱孔があいている。

← トップページへもどる