PX25・300B・2A3 挿替式シングルアンプ・再改造



2A3+ML4+5Z3"

↑ 今回もMarconi / 2A3+GEC / ML4+Sylvania / 5Z3の組み合わせで検証・測定。






↑ 交換前のカップリングコンデンサー。





↑ 何度も変えて最終のカップリングコンデンサー。おそらく中身は同じだと思うが、名称がMKP-QSからQS6に変わっている。バージョンだろうか?



 

やっぱり気になる

プレートチョークを変更して上がってしまった超低域の盛り上がり、やっぱり気になります。

盛り上がってるってことは位相回転が起こっているワケで、何かの拍子に安定度が落ちるかも知れません。

プレートチョークのように途中にインダクターが入るとなかなか計算通りに行きませんので、この際カップリングコンデンサーの容量を少しづつ減らして最適点を探すことにしました。

カップリングコンデンサー変更に伴い、初段のカソードバイパスコンデンサーも変更してなるべくカットオフ周波数が近づかないようにしました。







↑ スタガー比を考えて初段のカソードバイパスコンデンサーも変更(水色の470uF)。こちらは容量大幅増加。


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カップリングコンデンサー容量による変化




実際にどれくらいの容量が適切かテストしてみました。今回もR-ch、NFB-6dBです。なお、高域は変わらなかったので、低域のピークのみ表示しています。

たまたま在庫があったコンデンサーを使用していますので、種類はバラバラです。そのため音質等のレビューはせず、電気的な特性だけテストしています。

元々4.7uFでピークが4Hzで+3.11dBしたが、1.0uFにしたら逆に増えてしまい、5Hzで+4.19dBと大きくなってしまいました。

更に容量を減らして0.47uFにすると6Hzで+2.92dBに減りましたが、これでは4.7uFとあまり変わらず変更した意味がありません。

0.33uFにしたところ6Hzで+2.01dBに減り、0.22uFまで減らしてやっと9Hzで+0.17dBと、ほぼフラットになりました。

この時に使ったオレンジドロップ715Pでも結構音は良かったのですが、最終的に同じ種類のAUDYN MKP-QS6に変更しました。


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2A3+ML4+5Z3使用、0.22uFに改造後の周波数特性



2A3だけですが、今回はちゃんと無帰還、NFB-3dB、NFB-6dBの3種類を計測しました。全てR-chです。

超低域、超高域ともピークはなくなり、NFB-6dBでは3極管シングルとしては超広帯域です。改めて出力トランスの性能に驚かされます。

無帰還では完全にカマボコ型になりましたが、それでも-1dBの範囲が30Hz〜40kHzあたりですので広帯域です。

無帰還とNFB-3dBは高域の位相補正無しですので、2A3、300B、PX25のナマのパワー管の音が楽しめます。



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インプレッション

正直言います。音がつまらなくなりました。特に無帰還時。なんかね、豊潤さが鳴りを潜め、素直で優等生的なんです。(あれ?オレンジドロップの方が良かった?)

不思議なんですが特性が良いアンプ=音の良いアンプではないと改めて思い知らされました。

少し毒があった方が病みつきの味になる、と言ったら言い過ぎでしょうか。

 

と言うワケで、せっかく特性が良かったAUDYN・QS6の0.22uFを外して、1つ前のビタミンQの0.33uFに変更しました。

ビタミンQはオイルペーパーコンデンサーですので特性的にはPPフィルムコンデンサーには敵いませんが、余程ハーメチックシールドがしっかりしているようで、測定してみるとそこそこの数値を叩き出し、音も独特の個性があるので「毒」を盛るのに最高です。(言い過ぎか?)


2A3+ML4+5Z3使用、0.33uF(Vitamin-Q)に改造後の周波数特性





↑ Vitamin-Qと言ってもムカシのスプラグのものは42シングルや25E5パラOTLで使い切ってしまったため、TONE FACTORYブランドのもの。


またNFB-6dBの時に6Hzで+2dBほど盛り上がってしまいましたが、以前の+3.11dBも盛り上がってた時よりはマシです。

無帰還とNFB-3dBは可聴帯域フラットに近くなり、リファレンスにできる音に戻りました。

超低域の盛り上がりを気にして色々いじくり回しましたが、実は音質に影響があったのは中域でした。ジャズを聴いていてホーンセクションがやたら荒くあったのが気になっていましたが、何とか元に戻せました。

低域についても0.22uFの時は6Z-P1超3結の方が質が高く聴こえ、本機はその数倍のコストが掛かっていますので、負けることは許されないのです。

PX25/2A3/300B挿し替え、NFB切り替え、フィラメントのAC/DC等、スイッチをどのポジションにしても常用できる仕上がりにならないといけないと言う高いハードルを本機には課しています。

プレートチョークがLUXの4691の時はこんな苦労しなかったのですが、TANGOのTC-160-15Wにした途端、陥った泥沼でした。

ひとつ注意点ですが、カップリングコンデンサーの種類と容量を同時に変えてしまったため、個別の種類の音ではないと言うことをご了承ください。プレートチョークとの組み合わせの良し悪しもあるかも知れません。



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NFBスイッチの扱い変更

ずっと前からもうひとつ気に入らない点がありまして、それはNFBスイッチを無帰還から-3dB、またはその逆に切り替えた時に大きなノイズがブツッと出ることでした。

これは無帰還時に初段のカソード分割抵抗100Ωをバイパスしてアースに落としていたため、スイッチ切り替えによって急にバイアス電圧が変わるために起きています。

そのためバイアス電圧が変わらないNFBの-3dBと-6dB間での切り替えではノイズが出ません。

 

ムカシから多くの方がこの方式で切り替えていたため、右に習えでこうしていましたが、視聴中でも遠慮なく切り替えしたいので、無帰還時に100Ωをバイパスしないように変更しました。

これで切り替えてもノイズが出なくなりましたが、僅かにバイアスが深くなるのと、僅かに電流帰還がかかるため、入力感度は少し低下します。でも簡易測定してみて約-0.6dBとほんとに僅かでしたので、他の測定はサボらさせて頂きました。


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