ナショナル マグナスーパー・BX-210

ナショナル マグナスーパー・BX-210





BX-210正面


内部

↑コンパクトな筐体なのでシャーシーは目一杯の幅を使ってある

リアパネル

↑リアパネルの状態も悪くはない

ゴム足

↑潰れていたゴム足を交換

  クライスラーのラジオを手放してしまってから、しばらくST管ラジオが無かったため、本機を入手しました。

整備品とのことでしたが、感度は良いものの音が悪いです。面倒なので今回こそ手を入れずにそのまま使えると思ったのですが・・・

仕方なくまずは裏蓋を開けて確認・・・なんだか泥っぽくて汚いです。しばらく使っていた感じで、整備品と言うのは、いつ頃整備したものでしょうか。

電気的に修理する前に気になったのはテーブルに置いた時の音です。底を見るとゴム足が完全につぶれてシャーシー固定用のビスよりも低くなっていたため、ビスがテーブルに当たっていました。これでは置いた場所がキズ付いてしまうため、最初にゴム足を交換しました。

次にシャーシーを取り出して見ると必要最小限のコンデンサーと抵抗は交換はしてありました。但し旧パーツを外す際、単にニッパで切っただけであちこちリード線が尖っています。また、ハンダ付けもかなり雑でイモハンダになっています。

これが音が悪い原因かと思い、どうせ他のコンデンサーも全て交換しますので、ついでにハンダ付けも直して行きましたが一向に良くなりません。

今回の原因追及はかなり時間を要しました。最終的にはパワー管のグリッドリーク抵抗(カーボン抵抗)の不良だったため、金属皮膜抵抗に交換してだいぶ良くなりましたが、そこに至まであっちこっちパーツを外しては調べ、の繰り返しでした。

ところでその原因追及中にボソボソノイズがあることに気がついたため、発振を疑ってNFBを調べる機会がありました。

で、音を聞きながらNFBを外してみましたが、あれ? 音が変わらない・・・。何度もやってよーーーく聞いてみると、わずかに音が大きくなったり小さくなったりしています。

そこで測定してみたところ、このラジオのNFBはわずか1.6dBしか掛かっていません。これではほとんど音質向上に効果が出ず、当時流行の「NFB付き」を宣伝するための客寄せパンダだったようです。

ついでに出力トランスを含めたラジオの周波数特性にも興味が出てきたので、PHからオシレーター出力を入れて測定してみたところ、-6dB(電圧が半分)の範囲で70Hz〜15kHzと言ったところでしょうか。

但しNon-NFB時は6kHzあたり、NFB時は10kHzあたりに+5dB程度の強烈なピークがあります。OPTにコンデンサーがパラに入っていますしTONE回路もありますので、この共振は味付けとでも呼ぶべきでしょうか。

本機は真空管ラジオの中でもかなり太い低音の良い音がしますので、これくらいの高域増強があった方がいいのかも知れません。

話が完全に測定にずれてしまいましたが、とりあえず聞ける状態になったので、この状態でしばらく使ってみます。
と言うのは言い訳で、ジツは仕事でヒマが無くなってしまったため、完璧修理は後回しになった次第です。


修理前のシャーシー内部

↑修理前。必要最小限のパーツは交換してあった

修理後のシャーシー内部

↑修理後だがまだ抵抗の交換前。

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