ビクター R-601C

ビクター R-601C





R-601C正面


ST管の実機テストがしたいが実機がなかったので探しまわって手に入れたラジオです。

届いた時の状態はかなり悪く、キズだらけ、内部はホコリだらけ、シャーシーはサビだらけ、オマケにその状態でひと晩ほおっておいたら、このラジオが元と見られるゴキ子大量発生で部屋の大掃除を強いられるなど、エラいことになってしまいました。

このラジオ以来、古くてホコリだらけの物を手に入れた時は、バルコニーで開封し、その場で掃除するようにクセが付きました。

掃除が終わって電気的なチェックをしてみると音が大きくならず、受信周波数はズレているだけでなく範囲も狭いようです。マジックアイも6E5が付いていましたが点灯しません。かなり気合いを入れて修理をする必要がありそうです。

まずは目に見えて動作不良の原因となっているものから手を付けて直るか確認しました。リークしているペーパーコンデンサーをアンプ解体で出たASCのフィルムコンデンサー(モッタイナイ?)に、バイアス用のバイパスケミコン、一部の不良抵抗も交換してみたところ、リークが無くなって各部の電圧が上昇し、出力も上がりました。しかしまだUZ-42の実力は出ていません。

詳しく測定してみると、ほとんどの球がエミ減状態であったため交換したところ、元の出力まで回復し音が大きくなりました。

しかし接触不良の症状が出ており、どうもウェハーソケットがひび割れしており、もうダメなようです。これはハトメを外してアンプで使っているタイトソケットに変更することにしました。

他にもダイヤルライトが球切れだったので電球の交換、ボロボロだったACコードの交換、ブロックケミコンも交換など、こうなると一度パーツを全て外さないといけなくなってきますので、完全にバラしてサビのひどいシャーシーやトランスカバーもきっちりサビ止め再塗装をしてからにします。

ダイヤルパネルも分解し透明パネルは洗浄、反射板はゴールドの再塗装でキレイになりました。

  塗装したシャーシーとトランスカバー

↑元の色が解らないほどひどいサビだったのできっちりサビ取り、サビ止めをして再塗装したシャーシーとトランスカバー。

塗装したダイヤルパネル

↑ダイヤルパネルも洗浄と再塗装でキレイに。


塗装前のシャーシー

↑まずはコンデンサー類を交換して様子を見る。裏面はサビていない。

塗装後のシャーシー

↑再塗装後に再組み立てしたシャーシー。接触不良のウェハーソケットはタイトソケットに交換、
 コンデンサーは全交換。ラグ板も追加。


組み立て後、周波数のズレを直します。下の方は合っていますが上の方が合っておらず、ダイヤル目盛りで1600kHzのあたりが1300kHzくらいになっており、ラジオ日本が受信できません。

手持ちのファンクションジェネレーターは変調出力が出せないため、マジックアイと電子電圧計を頼りに調整しましたが一向に直らず、発振周波数と実際の周波数との計算が合わないところを見ると、どうもIFTの同調周波数がズレているようでした。

IFTのカバーを外し断線の有無を確かめるため、コンデンサーを一度外して容量チェックしてみると大きくずれていました。どうもこれが原因なようです。

これでやっと電気的な修理が完了し、最後にアンテナリード線がダラダラ長いと面倒なので、ターミナルに変更して使いやすくしました。

キズの多い木の筐体は手を入れたいところですが、ニッパー犬のビクターマーク、文字等は直接シルク印刷されており、再塗装が難しいため躊躇してしまい、そのままにしました。 後面カバーはペラペラで精度も悪く、ひょっとして純正じゃないかも知れません。ただ雰囲気は筐体と合っているのでとりあえずそのままにします。

修理にはかなり手間が掛かりましたが、周波数ズレも直り感度も良くて快適になりました。何より木箱のラジオはスピーカーの大きさも相まって音の良さをヒシヒシと感じます。
  R-601C裏面内部

R-601C裏面フタ

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