測定結果



入出力特性です。なだらかなクリッピングポイントですが、おおよそUL接続で7W、3極管接続で4Wあたりでしょうか。その後最大出力は10Wと6Wあたりまで伸びています。

見た目より現代的な音がするように考え、ラックスのウィリアムソンタイプを意識したせいもあってNFBは約-20dBと多めに掛けています。
もしiPodなどの出力が小さいソースをメインで使う場合はNFBを減らして入力感度を上げることもできます。

ゲインに余裕があるので普段BGMソースとしているiBook+iTunesのミュージックサーバ(大出力時に音が悪い)でも出力ゲインを絞って使えるため、いつもより高感度入力のアンプも悪くありません。





上がUL接続時、下が3結時の歪率です。それほど大きな違いはありませんが、ULでは3W出力でも低歪み、3結では小音量時がかなり低歪みと、それぞれの特徴が出ています。 中でも3結時の0.1W前後では0.01%あたり推移しており、真空管アンプとしては超低歪みです。右チャンネルの10kHzのみ若干数値が悪いのは電源部のノイズを拾っているようです。




周波数特性です。位相補正をしてこのグラフとなりました。5Hz以下は測定器の誤差が大きいため参考程度で、事実上フラットです。高域も100kHzあたりまで-1dBと、かなり広帯域アンプです。 位相補正をしないと100kHzあたりに+3dBのピークができました。もう少しULと3結で差が出ると思ったのですが、ほとんど変わりません。




ダンピングファクターです。3結で約9、ULでは約8.1、低域と高域で逆転しています。しかしオンオフ法での測定で9と8.1の差は8Ω負荷時、電圧にして0.9Vと0.89Vですから、ほとんど誤差程度で差は無いに等しいです。 差動増幅は初段とドライバー段だけでもダンピングファクター向上に効果があります。
残留雑音は左チャンネルが0.06mV、右チャンネルが0.08mVで超低レベルです。これくらいだとスピーカーに耳を当ててもノイズは全然聞こえません。



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試聴感想

このアンプは狙い通り現代的な音がする高性能アンプとなりました。スペックの数値がそのまま音に出てくるタイプのアンプです。

全ての音がしっかりしていて破綻が無く、ソースを選ばないため安心して使えるアンプです。

差動回路とNF量のせいかULと3結を切り替えてみても、それほど音色に差が出ませんでした。UL接続でも締まった低域が気持ち良いです。
製作後の雑感

心残りなのはやはりデザインでしょうか。もっと古びた感じにしたかったのですが、ついつい端正な感じになってしまいました。

プッシュプルの上下バランスはシャーシー上から調整でき、バイアス電圧もチェックできますが、バイアス電圧の調整は結局裏返して中を開けないといけないため、バイアス電圧用バリオームも上から回せるようにした方が良かったかも知れません。頻度は大変低いですが。



6V6GTフロント

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