↑ 3台同時製作中のうちの2台分。初期のシャーシー構成なので、この後色々追加パーツが増えた。印はサブパネルと内部補強用のアルミチャンネル。





↑ アルミ板折り曲げ中にバイスが折れたため、精度が1mmも狂ってしまった。

 

ながーい製作期間

GU-50 / FU-50プッシュプルのところでも書きましたが、本機の設計は製作作業ができなかった2024年に済ませ、2025年の年初から同時製作で開始し、完成したのは年末、調整と個々のトラブル解消、測定は年明けになって結局1年以上も掛かってしまいました。

と言っても最初に設計し始めたのが本機で、途中からGU-50 / FU-50プッシュプルを始め、さらに後にGU-50 / FU-50シングルを割り込ませ、一番最後に本機が完成したので、実質製作期間は1年も掛かっておらず、正味4ヶ月程度でしょうか。

それでも掛かりすぎですが、ここ1年トラブル続出で本機のシャーシー製作中、アルミ板折り曲げ作業中にバイス(万力)が折れたり、カメラのコンパクトフラッシュのデータ破損、測定機材の故障など色々あってやっと完成させた、と言う具合です。

バイスはそのものでアルミ折り曲げをしてるワケではなく、ベンダーの補助として使っていましたが、折れた瞬間にズレたことで精度に致命傷となり折り曲げ寸法が1mmも狂ってしまいました。

私のような使い方をする場合、アルミの材質は重要でA1050PかA5052Sかで加工精度としやすさが大きく変わります。穴あけだけならどちらでも良いのですが、折り曲げ作業があるとかなり影響します。

仕方なく足りなくなったアルミ板を秋葉原に買いに行きましたが、時期によって扱っている商品が変わっており、ほとんどの店が今はA5052Sのみとのことで、A1050Pを探すハメになりました。

他にも誤差を修正する作業など、これらで1週間以上要しました。

CFデータ破損は本機の製作途中の写真がほぼ無しになってしまいました。



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使用球

10系送信管を色々挿し替えるんですが、調整・測定用にVT-62 / 801Aをデフォルトとして使用します。これは+B電圧をHigh側でも同じ球で違いを見るためです。

メーカーはVT-62と言えばハイトロン・・・と思っていたのですが、自分の勘違いで昔ハイトロンを買ったつもりでRCAとユナイテッドしかありませんでした。あれ?

以前のアンプは早々に解体してしまったので両方とも消耗のないNOSに近い球です。どちらでも良いのですが、今回は球のベースと文字の色がシャーシーの色と良く合うのでユナイテッドをデフォルトに決めました。

5687WAと5R4GYはRCAやGE、シルバニアなど合衆国製も色々在庫していましたが、印字の向きや日本球が好きだと言う理由で東芝をデフォルトで使います。こちらもほぼ未使用で測定にピッタリと判断したためです。

0Z4Gは少々選定に苦労しました。この球、ラッシュカレントが大きくガス入り冷陰極管のため初期放電が少し不安定で、CK1006の時に感じていた不安がそのまま当たってしまいました。

まあシャーシー加工してしまい今さら変更できないので、3本しかない0Z4Gを選別(できてないが)して一番程度の良さそうなレイセオンのものをデフォルトにしました。

在庫の3本がどうしてもダメそうな時は同じレイセオンのCK1007を使うことにします。

0B2 / VR105MTは前述のように在庫全て放電電圧を試験し、108Vに近かったシルバニアの0B2WAを使います。

テストしてみると104V〜115V位までバラついていて、本機ではそのまま5687への供給電圧が変わってしまいます。まあ、それでも余裕のあるプレート損失で設計していますので、108Vから少しかけ離れても問題ないと言えばないんですが。
 

↑ 左・測定結果の107.6Vと書き込んだ0B2WA。印字はほとんど消えているがわずかに緑の文字が残っているのでおそらくシルバニア製。右は印字の残っている0B2WA。クリプトン85が入っていると書かれているがガイガーカウンターで計測して0.1uSv/hだったので被爆の心配はない。



トランス

アウトプットトランスはタンゴのFW-20-14Sです。新品で買ってカソードフォロワー直結ドライブで作った時に使っていたものを解体して数十年死蔵していました。モッタイナイ。

パワートランスはノグチトランスにPMC-120HGを使います。これ、いつかは送信管で使いたいと思ってました。

端子数がいっぱいあって色々な電圧を選べますが電流が120mAまでなので、本機のように高圧低電流の送信管じゃないと使い道がないかも知れません。

チョークコイルはラックスの5BC10です。これはシャーシーに載る大きさと言うことで選びました。もう少しシャーシーを大きくすればタンゴのMC-10-200DやタムラのA-395にしたかったのですが、重量のことも考えるとこれでベストだったと思います。



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その他のパーツ

本機はとくに特別なパーツを使用しているワケではありませんが、特記するとしたらコンデンサーです。

最近は真空管回路で使える高圧ケミコンが自由に選べる時代ではありませんので、整流直後に必要な高圧小容量のケミコンが売られていません。

そこで少々モッタイナイですが、カップリングで使うAUDYNのQS6フィルムコンデンサーをコンデンサーインプット部分に使いました。

これなら数マイクロファラドで耐圧600Vあります。ただ、リップルの多い電源回路で使っても大丈夫か不明でしたので、人柱のつもりで使ってみます。
 

 

今回は初段の配置が悪くシールド線が長くなるので、長年使い道がなかったモガミの太いLC-OFCのものを使いました。RCA入力からVRまではφ6mmの2511、VRから初段まではφ4mmの3154です。

太いとスペースの面や取り回しが悪いので、どうしても使用をためらいますが、入力1系統だけだしスペースも余裕あるので、本機で使わないと当分使うことはないだろうと思いました。

2511は元々エレクトリック・ギターのシールドケーブルでプラグ付きだったものを切って使いました。MT9Pソケットまわりの配線には厳しい太さですので、こちらは3154にしました。



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デザイン

シャーシーの基本構造はEL34 / 6CA7プッシュプルと同じ作り方で本機で4台目になります。

シャーシーも自作する都合上、強度的なことを考えると幅400mmを超える場合、このサンドイッチ形状の構造が一番安心できます。もちろんトップパネルの上部引き抜き機能も継承しています。

欠点としては補強材の多さや穴あけ工数の多さなど、手間もコストも掛かりますが、自由にサイズが決められて強度もあるので変えられません。

色は2つの要因から決めています。十数年前に色々な組み合わせができるようスプレー塗料をまとめて数十本買ったのですが、そろそろ使わないと保管期間を考えるとダメになりそうなので、ここ数年に作ったアンプ数台はそれが理由で色を決めています。

本機は塗料の保存期間が長いものを先に使う目的と、トランスのエンブレムに色を合わせて決めました。

従ってNC-14はGU-50 / FU-50プッシュプルでも使い、残り少なくなったコバルトブルー、5BC10はゴールドアンバー、それに合わせてシャーシーも同色です。普通にメタリックゴールドの方が合いそうですが、持っていないので。

OPTとPTはTANGOのエンブレムが黒なのと保管状態が良かったためまだ新品のような見た目でしたので、今回は黒いまま使いました。

これらの色の組み合わせは悪くはないんですが、古典管なのでレトロな感じにしようと思ってたのに、またいつものクセで現代風なデザインになってしまいました。在庫塗料を使い切るまでムリかも知れません。

VT-62 / 801A使用時のパワー切換えスイッチはいつものように気安く操作できないよう、ショートレバーのトグルスイッチをチョークと電源トランスの隙間に配置しています。

定電圧放電管2本はチョークの前に配置しました。本機のように電圧ドロップとして使用した場合のリスクを考えてのことです。

まだ真空管全盛時代に無線機器ではこのような使い方をしているものを何度か見たことがありますが、オーディオアンプでの使用はあまり例がありません。

そこでもし失敗した時はマジックアイに変えてレベルメーターにでもするか、と保険を掛けたレイアウトにしました。




↑ チョークの前に配置した0B2WAが怪しく光る。失敗してここがマジックアイに変わらないことを祈る。

 

↑ 本機のシャーシー構成。塗装まで終えているが、この後機能追加で穴あけ加工している。





↑ トランスの色はエンブレムに合わせた。





↑ パワー切り替えスイッチ。+B電圧が約100V上昇するためVT-62 / 801専用。





↑ 底面。アルミパンチング板を貼っている。





シャーシー内部

↑ 調整・初期変更後のシャーシー内部。フロント側は追加でイルミネーションON/OFF用トグルスイッチの穴をあけた。
トランスの銘板を避けるようアルミチャンネルを削ったり、銘板分の厚みを調整するためシムを追加したり、エンドミルで削れば楽なのになーと思いながらものすごーーーーく面倒な加工をしている。



リアパネル

↑ 初期変更後・改造前のリアパネル。この時点でガイドイルミネーションは追加されている。イルミネーション類はシャーシー塗装後に考えた後付け機能なので、目立たないがRCA端子上のLED穴はわずかに塗装がはがれて汚くなってしまった。



→ 測定結果と試聴