若かりし頃、カセットデッキは兄と共有のパイオニア製を使っていましたが、やはり何かと譲歩しなくてはならず不便でしたので、アルバイトで資金を貯めて買ったのがLX-5です。 たまたま整理をしていたら本機の保証書が出てきて、お買上げ日:昭和57年11月28日、ラオックス本店3F売場となっておりました。 当時主流だったのはアジマス調整ができるZXシリーズだったと思いますが、スイッチ類の操作が多いのはスマートではないなと感じてこちらを選んだ記憶があります。 当時のカセットデッキ事情私の兄の世代は時代的にオーディオマニアが多く、ドルビーNRは必須だ、とか音が悪くなるから必要ない、だとかの議論が活発だったことを覚えています。しかし通常のドルビーNRは掛かりが低く、確かにノイズ低減効果はあるものの、必須と言うほどではなかったと思います。 やがてドルビーCタイプが出てくるとメーカーはこぞって採用し、こちらはワンランク違ったノイズ低減効果がありました。 ところがLX-5を買ってから解ったことですが、ナカミチと他社ではドルビーNRの掛かり方が違う!、と言うことで、圧縮レベルが合わないのか、本機で録音したテープを他社デッキで再生、またその逆では音が不自然で全然良い音になりませんでした。 これは問題で、家のオーディオシステムだけで聴く分にはドルビーCで録音しても良い音でしたが、カーコンポに持って行くと使い物にならず、結局半分以上はドルビーオフで録音していたと思います。 それはさておき、LX-5は3ヘッドですので、しょっちゅう録音する身としては録音状態のモニターができて大変便利でした。 故障内容本機はナカミチからもう修理ができなくなる、とアナウンスがあった時にメンテナンスに出して不具合は一度解消されていました。その時は確か走行系の不具合からベルト交換やシーリングパネルの開閉不可など、機械的な故障がメインだったと思います。 久しぶりに電源を入れてみたところ、今回は電気的な不具合が目立つようになり、音は出るものの音楽再生には適さない状態となっていました。
そのため修理と言うよりは飛び散った電極と電解液の清掃が一番時間の掛かる作業となってしまいました。 基板のパターンを追ってみるとブリッジ整流直後のケミコンで、当然年代的に防爆弁などありません。 そこで電源部ケミコンは当然として、以前から音質改善もしたいと思っていたため、信号部やドルビーNR基板などのケミコンを全交換しました。 数十年経っていますので、以前はケミコンしか無かった容量のモノも今なら同じサイズのフィルムコンデンサーがあり、できるだけオーディオ用と謳われているモノに交換しています。 但し、交換した全ケミコンも測定してみると、それほど劣化したものはなく、主に電源部だけ交換すれば寿命的には大丈夫そうでした。 ヘッドホンジャックの接点不良は、分解できないタイプのジャックのため、綿棒に接点復活剤を染み込ませて丁寧に拭き取って解消できました。 問題はドルビーCのみオンにするとバリバリノイズが出る点ですが、これはドルビーチップのLA2730の不具合のようで、入手できないため当分は修理不可です。 こちらは気長に探して入手できたら改めて修理しようかと思います。 |
↑ 破裂した電源部ケミコン。中身は吹っ飛んだ。 ↑ ケミコン交換後の電源部。ニチコンKWとFineGoldにした。 ↑ 全体で見るとニチコンKWにした部分はここ。 ↑ 信号部メイン基板。オペアンプ廻りなど全ケミコンをオーディオ用に交換。 ↑ ドルビーNR基板。ほぼ全ケミコンをオーディオ用に交換、一部フィルムコンデンサーにした。 | |
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