買った当初から10年くらいは頻繁に使っていたチューナーですが、その後数十年は引っ越しやら何やらでアンテナ設置ができず、オーディオラックの中に飾りとして鎮座していました。 最近、久しぶりに接続して電源を入れてみると、あっちこっち不具合だらけでマトモに使える状態ではありませんでしたので、きっちり手を入れることにしました。 入手時の時代背景私が高校生のころ、FMエアチェックにハマっていて、音の良いチューナーが欲しいと思っておりました。そこで当時カクゴを決め、お年玉等貯めた全財産を握りしめて旧ラジオ会館4FのサトームセンでT-12を買ったことを今でも覚えています。保証書には昭和54年1月14日と書いてありました。 時代的にはPLLのデジタル式が流行り初めていましたが、何となくアナログ的なチューナー魅せられ、かと言って周波数安定度は欲しいので、完全アナログではなく、せめてクォーツロックの機種をと調べていたらT-12に行き着いた、と言うところです。 このT-12、電気的なクォーツロックだけでなく、ダイヤルを廻して受信するとダイヤルつまみにブレーキが掛かるアキュタッチと言う凝った機構も付いていて、年端も行かない少年にはグサっと突き刺さりました。 しかしよくこんな高いチューナー(当時の定価96,000円)を高校生で買ったものです。マニア向けなので値引きもあまりなかったと思います。 |
調べてみると不具合の症状は多岐にわたり、
なんでこんなことになるんだ? と不思議な故障でしたが、ブロックダイアグラムとICのデータシートをじっくり見比べてみると複合機能のIC、日立・HA11211の動作範囲とピタリと一致します。 幸いT-12の使用ICは汎用品ばかりで複数のメーカーや機種で使用されていることが解ったため、今でも入手することができました。 さらにラックスのようなマニア向けメーカーの取扱説明書には、回路図はキット製品にしかないもののブロックダイアグラムがちゃんと書かれており、修理する上で大変助かりました。 時代的に本機あたりまでがパーツの入手性を考えると自分で修理できる限度かも知れません。カスタムチップが増えたり基板のパターンが微細化すると手が出せなくなります。 | |
↑ T-12のブロックダイアグラム。これがあって助かった。 | ||
↑ 配線状態記録のため、分解前に必ず撮影している ↑ HA11211交換のためにシールド板を外すとセラミックコンデンサーが2つ寝ていたので起こして撮影。これをしておかないとどこに付いていたか解らなくなる。 ↑ アキュタッチ、クォーツスイッチ周り、電源部基板 ↑ アキュタッチはフライホイールをソレノイドのようなコイルを押し付けてブレーキにしている。 |
ついでにその他LX-5カセットデッキで凝りたので、電源部・整流直後のケミコンは防爆弁がないため、念のため交換することにします。アキュタッチブレーキのチャタリングはIC・HA11211だけの不良とは考えにくく、念のため該当回路のケミコンも交換しました。 しかしこれらはLCRメーターで見たところ、容量低下はあるものの、故障の原因になるようなものではありませんでした。 ま、予防と考えれば新しいケミコンの方が良いかと。 信じられない不良前出の不具合内容のうち、「2つの出力のうち右chの1つが出力しない」はICに関係なく、出力レベル調整用のバリオームが原因と解りました。おそらくガリか何かだろうと思って外してみましたが、一向に解りません。 バリオームを分解して詳しく調べると、なんと見た目では解らず、でも確かにカーボンパターンの一部が断線しているようでした。こんな原因は初めてです。 使用されていたのはアルプスのRV16タイプ、2連5kΩ-Bカーブ、ローレットシャフトでしたが、同じモノは手に入りませんので、10kΩ-Aカーブのモノが入手でき、長めのシャフトは切り落として取り付けました。出力レベルなのでAカーブの方が使いやすいです。 ↑ 分解して接点復活剤で磨いたが直らず。 ↑ テスターでよーく調べると赤四角部分あたりが断線していた。見ても解らないが。 | |
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