旧2A3 シングルアンプ






Prologue

30年以上前になりますが、私の初めて作った管球アンプです。当時はまだアマチュア無線に熱中している最中で、既に電子工作は結構していましたが、ここまで大きく重くコストの掛かる管球アンプは興味の対象外であり、自分が作るとは思いませんでした。

毎月買っていた「初歩のラジオ」「ラジオの製作」を見ていると、良く管球アンプの製作記事を目にします。「変わったモノを作る人もいるもんだな」くらいにしか考えていませんでしたが……

しかしハマってしまったのです(笑)

その頃、オーディオがちょっとしたブームで元々音楽が好きだった私は良く横浜三越にあったテクニクスショールームや、ジョイナス横浜にあったヤマハ視聴室に足を運んでは話題の新譜やジャズのレコードを聴きに行っていました。

良く考えると我が家には普及タイプのコロムビアのモジュラーステレオしかなく、ショールームで聞く音とはかなりの格差があり、「システムを揃えよう」と決意したのでありました。

 

ではなぜ2A3シングルアンプかと言うと、雑誌の記事の面白さに惹かれてアンプから入ったのです。

少年であった私には著者の影響が大きく、藤本伸一氏の製作記事に興味をそそられ、いつかは作ってみたいと思いましたが、いかんせん凝った回路でコストが掛かりすぎ、とても初歩とは思えない内容で部品が買えませんでした。今思えばなぜ初歩のラジオにUV-211やEL-156なんでしょうか。(笑)

で、ラジオの製作に絶好の記事があり、あまりコストが掛からずST管で見た目も良い、それがこの2A3シングルアンプだったので本の回路をコピーし、作ることになりました。

当時まだ設計するすべを知らない少年でしたが、多少の理解はできたので少しアレンジし、シリコンダイオード整流だったものを整流管5U4Gに変え、抵抗によるπ型フィルターもチョークコイルにしたり自分なりにアレンジはしてみました。

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