まずは音出し

このアンプはシャーシーアースが浮いているため、かなり気になるので各部電圧チェックを済ませたら、エージングもほどほどに音出ししてみました。

旧16A8ではうまく行ってたのですが、今回はボリューム位置によりノイズが出ます。どうも前作は大きすぎるシャーシーが逆に良かったようで、今回はヒータートランスのリケージフラックス、その他もろもろが影響しているようで、やはり電源トランスレスの難しさを改めて感じました。
しかし音はどうかと言うと、ずいぶん柔らかいシングルアンプのような音がします。

かと言ってナローレンジかと言うとそうでも無く、レンジの広さも感じ、ボリュームも通常試聴位置ならノイズも聞こえません。そこで色々測定データを取っていました。



測定結果




入出力特性です。NFB約-6dB時の最大出力は6.5Wくらいで、その時の入力電圧は0.4Vと高感度になりました。但しクリッピングポイントは少し前の出力5.5W/入力0.3V時です。 入力感度が高いアンプは通常使用のボリューム位置が小さくなるため、一見パワーがあるように感じますが、少し使いづらいかも知れません。




周波数特性です。やはり相当伸びてました。-1dBの範囲で見ると10Hz〜100kHz以上です。左右共似たような特性でしたので左チャンネルのみ表示しています。 連続スイープしてみたところ、予想に反してピークらしいピークも無く、NFBもかなり安定度が高いと言えそうです。




歪率はこのアンプを作った当初、マニュアル式の歪率計しか持っておらず面倒だったのと、期待していなかったため、0.01W、0.1W、1Wの3スポットしか計っていませんでした。
詳細データがありませんが、おおまかな感じはつかめると思います。

予想はしていましたが、100Hzは完全に電源ハムが乗っており、歪率にも現れています。とくに左チャンネルはボリュームの上げ下げで完全に聞き取れるレベルであり、もう少し何とかしたいところです。配線引き回しはかなり神経を使ったのですが、電源トランスレス・倍電圧整流は難しいです。
残留雑音はボリューム位置によって大幅に変化し、右チャンネルで最小0.3mVですが最大30mVにもなりました。左チャンネルは右とは違い、最小0.2mV、最大3.6mVですが、ボリュームの中点(Aカーブなので2時あたり)が12mVとなります。やはりシャーシーにダイレクトアースできないのは苦しいです。

ダンピングファクターは全域に渡って左が1.6、右が2.0と低めになりました。どうりでシングルアンプのような音がしたワケです。これももう少し高くてもいいかな?と言う印象です。



製作後の雑感

数値的には一部ひどいものがありますが、これでもBGMを聞く分には聞けちゃいます。しかしもう少し何とかしたいので、スグに改造するハメとなりました。

電源トランスレスの場合、電圧に制約があり、よほどカクゴを決めて掛からないとハードルが多く、やはり実用的ではないようです

方針を変えてシリコンダイオード整流にしたり、半派整流にしてシャーシーアースをダイレクトにするなどすれば改善されると思いますが、もう整流管スタイルのデザインにしちゃいましたので、変えたくありません。
ケミコンも大容量にすれば良くなるかも知れませんが、整流管が持ちません。

特にこのアンプは電源トランスレスの実験機とも言うべき目的があったので、電源トランス搭載にも変更できるようシャーシーは設計しましたが、やはり頑張ってみたいのです。

旧16A8PPはシャーシーが大きかったのが案外ムダでは無かったようで、ノイズ・ハムも3mV以内と、いい加減に作ったわりには案外実用レベルでした。まぐれだったかも知れません。

しかし中音量まではこれでも割と明るいいい音が出ていますので、今後時間を見て詰めて行きたいと思います。





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