2A3 代表規格
↑またまた使うことになったMarconiの2A3。30年以上も前に買ったがブランクがあるので寿命は相当長い? |
Outline ロフチンホワイトと言う回路は早い話が初段と出力段を直結にし、カップリングコンデンサーを廃した回路ですが、それにとどまらずオリジナルでは抵抗アレイとも言うべきブリーダー接続で絶妙な電圧配分をしています。 この回路が開発された当初はまだカップリングコンデンサーの品質が現在のように良く無かったので、音質にはかなりの効果があったと聞きます。 抵抗の精度が向上している現在はオリジナルほどブリーダー接続をしなくても大丈夫だと考え、回路は少し簡素にしました。 そう言えば無帰還の音を聞いたことが無く、せっかく低内部抵抗の3極管を使うのだからと、今回はNFB無しでやってみることにします。 通常の回路と聞き比べたいと言う思いがあり、パワー段は旧2A3シングルと同じ条件にしてみます。 プレート電圧250V、電流60mA、セルフバイアスで-45V動作と、標準的な値です。プレート損失15Wはギリギリですが、長期運用でも大丈夫でしたので同じ値にします。これを直結によるかさ上げをしますので、カソード抵抗は相当な熱量になり、心配なので一部をシャーシー上に出しました。 2A3はフィラメント電圧が2.5Vと低いためハム対策に有利でわざわざ直流点火する必要も無いだろうと考え、交流点火にしています。 出力トランスは田代電機の特注品をそのまま使えばいいモノを、グレードアップを考えてタンゴのFW-20Sに変更してしまいました。 42アンプで使わずじまいだった6Z-DH3Aをどうしても使いたかったので、それに合わせて定数を決めて行きます。 幸いロフチンホワイトですのでグリッド抵抗の制限から逃れられるわけで、6Z-DH3Aのような高μの3極管も使えます。 NFB無しの予定なので6Z-DH3Aのなるべく直線性の良い部分だけを使いたいと思い、バイアス電圧を-1.5Vに設定したい(希望的観測)のと、ロフチンホワイトの欠点である高域不足を避けたいためプレート抵抗を低くしたい、この2つの兼ね合いで定数を決定して行きました。 ロフチンホワイトの特徴である6Z-DH3Aと2A3をつなげるブリード抵抗には2mAを流し、お互いの電圧比を保っています。 |
電源部 電源部が今回は一番苦労しました。(また電源部か・・) ロフチンホワイトに使える高圧で2.5V端子のある電源トランスが市販に無く、まず古いトランスの規格表を引っ張り出して探すことから始めました。 2A3と言えば有名な球ですのでいくらでもあるだろうとタカをくくっていましたが見事にハズレでした。 そこで目に付いたのが廃番ですがタンゴのMX-175です。なにもこれにこだわらずにB電圧とフィラメントを別トランスにすれば良いのですが、重量・サイズを考えると妥協できませんでした。 やっとの思いでオークションに出ているのを見つけ、2万円もしましたが何とか入手できました。 電源部はもうひとつ特徴を持たせました。 843シングルアンプで使ったガス入り整流管CK-1006を使ってみたくなり、以前予備管を数本買ったのを余らせていたこともあって使うことにしました。 しかしこの球は843シングルで使ったものの雑誌等でも前例が無く、それほど使い込んでいないので寿命が未知数で不安があったため、5Z3も使えるようにしました。 どうせそこまでするならと、83、274Aも使えるよう切り替えスイッチを付け、きっちり同じ出力電圧になるようにして、疑わしい整流管で音が変わるか?と言う聞き比べもできるようにしました。 これでこのアンプはガス入り整流管、水銀蒸気整流管、オキサイド整流管の3種類が使える楽しいアンプとなりました。 ↑整流管後部のスイッチ2つでいろんな整流管を挿し替え可能にしている。 ↑ボンネット装着時。そのうちボンネットも他の色にしたい。 |
↑オキサイドコーテッドフィラメントの5Z3使用時。たぶん寿命は一番長いと思われる。 ↑水銀蒸気整流管の83使用時。プレート内部で青緑色に光るのは大変キレイです。なお274Aは持っていないので写真が撮れません。 ↑ガス入り整流管のCK1006使用時。ガスが光ると言うのは不思議な世界です。数本挿し替えると微妙にガスの色が違う。 |
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