6V6GTと6F6GTの比較
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Outline 見た目はレトロ、音は現代、をコンセプトに(結果的には見た目がレトロになりませんでしたが)しましたので、球はすべてGT管を使い、ケミコンと共にいっぱいシャーシー上にそびえ立っているデザインにしました。 回路はハイスペックを目指し、今回は位相反転を差動増幅、ウィリアムソンアンプ並のNFBとして特性の向上を狙います。 タイトル通り、パワー管は6V6GTを使うことが大前提です。左の表は6V6GTと42のGT管でもある6F6GTを比べたものです。代表動作例はこのアンプに近いものを抜き出していますので、控えめな数値です。実際には双方とももっと出力は取れます。 これを見ても解る通り、大きさが同じGT管で、プレート+第2グリッド電流や出力がほぼ同じなのに、ヒーター電流の少なさや第1グリッド電圧が低いと言うことは入力感度が優れていますので、効率が良いと見てとれます。 当時、GT管は新しさを覚える形で、効率も良い高性能球として販売されていたようですので、レトロと呼ぶには失礼な気もしますが、私はMT管〜トランジスター世代ですのでレトロを感じていました。 このアンプ、実は回路を完全に決める前にシャーシー設計を済ませ、アルミ板の加工に入ってしまったため、少々無理な変更を余儀なくされました。 当初、GT管による差動増幅のドライバー1段のつもりでした。ゲインを考えると6SL7GTが有力候補だったわけですが、在庫を確認せずに事を進めてしまい、後から部品箱を見ると1本しかありませんでした。 6SN7GTなら本数が多めにあり、チューブチェッカーによるエミッションの状態も良好で、これを使うことにしたのですが、いくらパワー管の入力感度が良いと言ってもゲインが足りず、かと言って先にシャーシー加工を進めてしまったので球の本数追加もできず、回路設計をし直して初段にFETを使うことになったわけです。 幸い以前から何度か電子工作のため2SK30GRを数十本まとめ買いしてあったので、そこからペア取りをし、次の6SN7GTと直結として時定数を減らし、ドライバー段を組むことにしました。 カスコード接続とカレントミラーによる差動回路の定番とも言える構成も検討しましたが、電源電圧確保の都合で採用を見送りました。 |
出力段 巷では出力段も含めた全段差動増幅が流行っていますが、このアンプでは少しでも出力を多く取りたかったため、通常のAB1級プッシュプル回路とし、効率良く出力を出すため、固定バイアスとしました。 アウトプットトランスもレトロ感を出そうと形から入っており、ラックスの5Bタイプを使おうと決めていたのですが、8kΩまたは10kΩの該当するトランスがペアで無く、左右で違うタイプを使うことにしました。 今回使うことにしたCQ5B-10とOH18-10は測定したところ、それほど大きな違いは無く、1次側のインダクタンスはともかく、直流抵抗値が近いのは助かりました。そのため左右でプレート電圧が大きく違うと言ったことが避けられます。 今回もULと3結の切替スイッチを付けて、音の違いを楽しめるようにしました。 |
電源部 トランス類を全てラックスで統一して先にシャーシー加工に入ってしまったため、電源トランスを在庫している8A54に決めたまま、各部に必要な電圧を供給していくステップをとります。 電源トランスの巻線数が決まっていますので、バイアス用のC電源はヒーター巻線2つをシリーズとして倍電圧整流をし、必要な電圧を確保するようにします。 初段FET用の低圧B電源は出来れば専用巻線が欲しいところですが、無いので高圧B電源から確保することにしました。 どうせハイブリッドにするので、ここもトランジスターによるフィルターで減圧し、安定化させました。 |
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→ シャーシー設計と使用部品 |