6V6GTと6F6GTの比較

 6V6GT6F6GT
ソケット配置
6V6GT、6F6GTとも同じ
ヒーター電圧6.3V6.3V
ヒーター電流0.45A0.7A
最大定格
プレート電圧315V375V
プレート損失12W11W
第2グリッド電圧285V285V
第2グリッド損失2W3.75W
グリッド抵抗(固定BIAS)100kΩ100kΩ
グリッド抵抗(自己BIAS)500kΩ500kΩ
ヒーター・カソード間電圧+90V、−90V
代表動作例
動作AB1級プッシュプル
プレート電圧250V315V
第2グリッド電圧250V285V
第1グリッド電圧-15V-24V
第1グリッド電圧(ピーク)30V48V
相互コンダクタンス3750μモー表示なし
プレート電流(ゼロ信号時)70mA62mA
プレート電流(最大信号時)79mA80mA
第2グリッド電流(ゼロ信号時)5mA12mA
第2グリッド電流(最大信号時)13mA19.5mA
負荷抵抗10kΩ10kΩ
出力10W11W
歪率5%4%


6SN7GTアップ
  Outline

見た目はレトロ、音は現代、をコンセプトに(結果的には見た目がレトロになりませんでしたが)しましたので、球はすべてGT管を使い、ケミコンと共にいっぱいシャーシー上にそびえ立っているデザインにしました。

回路はハイスペックを目指し、今回は位相反転を差動増幅、ウィリアムソンアンプ並のNFBとして特性の向上を狙います。

タイトル通り、パワー管は6V6GTを使うことが大前提です。左の表は6V6GTと42のGT管でもある6F6GTを比べたものです。代表動作例はこのアンプに近いものを抜き出していますので、控えめな数値です。実際には双方とももっと出力は取れます。

これを見ても解る通り、大きさが同じGT管で、プレート+第2グリッド電流や出力がほぼ同じなのに、ヒーター電流の少なさや第1グリッド電圧が低いと言うことは入力感度が優れていますので、効率が良いと見てとれます。

当時、GT管は新しさを覚える形で、効率も良い高性能球として販売されていたようですので、レトロと呼ぶには失礼な気もしますが、私はMT管〜トランジスター世代ですのでレトロを感じていました。


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ドライブ段

このアンプ、実は回路を完全に決める前にシャーシー設計を済ませ、アルミ板の加工に入ってしまったため、少々無理な変更を余儀なくされました。

当初、GT管による差動増幅のドライバー1段のつもりでした。ゲインを考えると6SL7GTが有力候補だったわけですが、在庫を確認せずに事を進めてしまい、後から部品箱を見ると1本しかありませんでした。

6SN7GTなら本数が多めにあり、チューブチェッカーによるエミッションの状態も良好で、これを使うことにしたのですが、いくらパワー管の入力感度が良いと言ってもゲインが足りず、かと言って先にシャーシー加工を進めてしまったので球の本数追加もできず、回路設計をし直して初段にFETを使うことになったわけです。

幸い以前から何度か電子工作のため2SK30GRを数十本まとめ買いしてあったので、そこからペア取りをし、次の6SN7GTと直結として時定数を減らし、ドライバー段を組むことにしました。

カスコード接続とカレントミラーによる差動回路の定番とも言える構成も検討しましたが、電源電圧確保の都合で採用を見送りました。





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出力段

巷では出力段も含めた全段差動増幅が流行っていますが、このアンプでは少しでも出力を多く取りたかったため、通常のAB1級プッシュプル回路とし、効率良く出力を出すため、固定バイアスとしました。

アウトプットトランスもレトロ感を出そうと形から入っており、ラックスの5Bタイプを使おうと決めていたのですが、8kΩまたは10kΩの該当するトランスがペアで無く、左右で違うタイプを使うことにしました。

今回使うことにしたCQ5B-10とOH18-10は測定したところ、それほど大きな違いは無く、1次側のインダクタンスはともかく、直流抵抗値が近いのは助かりました。そのため左右でプレート電圧が大きく違うと言ったことが避けられます。

今回もULと3結の切替スイッチを付けて、音の違いを楽しめるようにしました。
  コネクションスイッチ



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電源部

トランス類を全てラックスで統一して先にシャーシー加工に入ってしまったため、電源トランスを在庫している8A54に決めたまま、各部に必要な電圧を供給していくステップをとります。

電源トランスの巻線数が決まっていますので、バイアス用のC電源はヒーター巻線2つをシリーズとして倍電圧整流をし、必要な電圧を確保するようにします。

初段FET用の低圧B電源は出来れば専用巻線が欲しいところですが、無いので高圧B電源から確保することにしました。

どうせハイブリッドにするので、ここもトランジスターによるフィルターで減圧し、安定化させました。

  5AR4整流管


6V6GT回路図

黒字青字=設計値、緑字赤字=実測値


→ シャーシー設計と使用部品