↑大変バッチかった ↑分解洗浄してみたら大変爽やかな色だった ↑あまりに見事な楕円の作りなので記念写真を撮ってしまった ↑交換したパーツ |
ここまで汚いと誰も触りたくありませんよね、このラジオ。と言うワケで私のところにやって来ましたナショナルのAM-380です。 ヒドイ油汚れとタバコのヤニで中華料理店の店舗ででも使われていたのでしょうか。早速分解して徹底的に洗浄です。 で、時間を掛けて洗浄してみると思っていた以上に爽やかな色をしたラジオでした。それ以上に驚いたのがスピーカーです。ここまで細長い楕円のものは初めて見ました。当時はテレビ用に楕円スピーカーが多く開発されましたが、開発者の苦労が偲ばれる逸品です。 ラジオとしての電気的な状態ですが、音が出ないとのことでしたが先にどなたかが手を入れた跡があり、マイラーコンデンサーが2つ、マジックアイの抵抗も交換されていました。 また、良く確認してみると貼ってある回路図と若干違い、出力トランスの2次側から12AV6のカソードへNFBが掛かっています。しかし純正っぽい古い抵抗や配線材で、NFBが書かれていない回路図とどっちが元のものなのか解りません。ひょっとしたらマイナーチェンジしたのかも知れません。 故障と思われる原因は2つあり、1つはスピーカーの内側リード線が断線していました。もう1つは30A5のコントロールグリッドがプラス4Vになっています。これは間違いなくカップリングコンデンサーの漏れ電流でしょう。 他はいつもと同じでペーパーコンデンサーは全交換、パイロットランプの配線材がボロボロなので交換、ゴムブッシュも交換、アンテナ線にみの虫クリップ取付け、など一通りして動作確認してみます。 すると受信はするもののマジックアイは動かず、周波数もずれていて感度も低いようです。調べてみるとIFTが455kHzから大幅にずれていました。IFTのAとBが同じ量だけずれていれば感度はそれほど下がらないのですが、どうもAとBがかなりずれていたため、中間周波数で通過できなかったようです。 この丸いタイプのIFTは調整しにくくてやりたくないのですが、これだけずれているとやるしかなさそうです。幸い固い方の上側はいじらなくても下側をゆっくり動かすだけでジェネレーターから信号に合ってくれました。 しかし感度が上がったにも関わらずマジックアイは閉じてくれません。測定してみるとAVC電圧が出ておらず、やっと見つかった原因が目に見えないハンダ付け不良による抵抗の断線でした。あれ、以前にここもいじったのかな? |
|
↑修理前のシャーシー内部 ↑修理後のシャーシー内部 | ||
ここまでで修理は完了したのですが、なんだかモヤモヤ、消化不良・・・と言うのはパイロットランプがオリジナルでは暗過ぎです。 整流管が19A3なので純正は3Vのパイロットランプが付いてるはずです。ところが確認すると3.8Vのものが付いていました。 わずかな在庫の3V電球に交換してみると・・・やっぱり暗い。他機種でも経験済みなので解ってはいましたが、19A3使用のラジオは元々暗いのが玉にキズです。 また、整流管19A3以上にこの3V/150mAの電球が貴重品でなかなか手に入りません。もしこの先、断線でもしたら整流管も断線するし復旧できません。 そこでパイロットランプを使わない整流回路に変更し、ついでにこのラジオもマジックアイのオン/オフが出来るようにすることにしました。 このスイッチですが、たまたまイヤホンジャックを外して穴を見るといいことを思いつきました。試しにミヤマのスイッチを突っ込んでみると、あまりにも純正かと思うほど穴のサイズがピッタリ。すぐにアルミ板でステーを作って搭載しました。 イヤホンが使えなくなりますが、このタイプのジャックで使うイヤホンは見たことがありません。たぶん使うことは無いでしょうから、これでOKとします。もちろんジャックは保存し、加工もしてませんから、元に戻そうと思えばいつでも戻せます。 となるともっと凝りたくなります。整流管は入手しやすい35W4に変更し、マジックアイも6E5系(なんだか電車の車両形式みたいだ)が使えるようにと言うことで、B電圧、ヒーター電圧ともに切り換えて、6E5、6Z-E1、12Z-E8、12Z-E9と4種類のマジックアイが使えるよう内部に切替えスイッチを付けることにしました。 これらはヒータートランスを追加し、パイロットランプの電力もこちらからもらいます。電球は手に入りやすい3Vは使わず、6.3V/0.15Aを使うことを基準にし、さらに今回は省エネでホワイトLED電球を作って搭載しました。 ↑切り直したフェルト 最後にツマミの相当汚かったフェルトを新規に切って入れます。最初は純正と同じ白いフェルトを切ってみましたが、このラジオの爽やかな色を見てると合わせたくなり、水色のフェルトに切り直しました。 このラジオは普通ならどうと言うことのないラジオですが、マジックアイ回路の改造で色んなマジックアイを実機テストできると言う存在意義の大きなものになりました。純正の12Z-E8系は入手難と言えるもので、いつでも手に入る6E5系が使えると格段に使いやすくなります。 なおマジックアイのスイッチはB電源をオン/オフするタイプにしました。スイッチが1回路なので、ヒーターもオン/オフできるようにするとパイロットランプも消えてしまうために止むなくこのようにしました。 |
↑オリジナル回路だとパイロットランプが暗い ↑追加回路の自作シャーシー。アルミ板を折り曲げて作った トグルスイッチは6E5系と12Z-E8系の切替え用 ↑追加回路の実装パーツ ↑マジックアイのオン/オフスイッチ 純正と見間違うほど穴サイズがピッタリ |
|
↑マジックアイ用追加回路はマジックテープで貼付けてある ↑専用回路で明るくなったパイロットランプと新品マジックアイ6E5で記念撮影 | ||
→ もどる |