↑スピーカーケーブルが破損し、腐食していた ↑エッジに虫食いの跡がある ↑ナショナルの製品はこの品番のスピーカーとOPTが使われているケースが多い |
UM-385は人気がないのでしょうか。また二千円ほどで入手し、しばらく時間がないのでほったらかしていました。 ACプラグが付いておらず、不動品とのことでしたので、今回は動作確認はせず、一通り手を入れることにしました。 と言うのも見て解る通り、汚れはひどくクリアパネルは一部溶けてるし、開けてみるといつものバリコンゴム溶けもひどく、シャーシーを外して裏側を見ると何やらコンデンサーが破裂したのか取れた跡もあります。 いつものように電気的な修理よりもボディケアから先にすることにします。 今回は照明の配線だけでなく、スピーカーの配線も途中で被覆が取れて線材が腐食していましたので交換の必要があります。 分解してみるとクリアパネルのツメが折れた(折った)跡があり、どうも一度外して掃除をしたようです。 この機種はダイヤルパネルが白いため汚れが目立ち、確かに中のホコリが入ると取りたくなります。 一度ツメを折って短っくなっているので、次にクリアパネルを外した時は溶着ではんく、接着剤で取り付ける必要があります。 そのため今回は水洗いのみでクリアパネルを外すことはやめました。 内部に回路図の紙が貼ってあると水洗いもできませんが、本機はプレートアンテナも含めて何も貼ってありませんでした。 但しクリアパネルの溶けはみっともないので修理することにします。見たところそんなに深くなさそうでしたのでサンドペーパーを掛け、最後にコンパウンドで溶けを消すことができました。 スピーカーはエッジに虫食いの穴が開いていますがヘタってはいないのでそのままにします。 バリコンのゴムは今まで見た中で今回が一番ヒドい溶け方をしていました。 溶けたゴムはシャーシー下に落ち、バリコンはかなり傾いて羽根がブロックケミコンに当たるため、これ以上ダイヤルが廻せない状態になっていました。 いつも通り、ゴムブッシュを複数組み合わせて修理したあと動作確認してみると、ゴムブッシュの微妙なサイズが違うせいかどうもいつもよりブレて少し動きます。 そこで今回はコストダウンのためと思われる余計に開いているバリコンの穴と取り付けステーの穴にビスも通して位置を固定することにしました。 バリコンは3mmのタップでネジ切りをしています。さらにゴムビュッシュに通すシャフト部分も細いため、熱収縮チューブをかぶせて太くしました。これで位置がきっちり出てブロックケミコンにも当たらなくなりました。 他には細かいことですが、マジックアイを押さえつけていた和紙のような紙もボロボロでしたので貼り替え、ツマミ3つも白い塗料ハゲがいつも通りでしたので、キレイに剥がしました。 |
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↑何か薬品で溶かしてしまったよう ↑サンドペーパーとコンパウンドで修正 |
↑バリコンが傾き、羽根がブロックケミコンに当たっている ↑バリコンゴム交換後。今回は位置決めビスも追加 |
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↑汚れもヒドイけど、溶けたバリコンのゴムがロウのように落ちていたのにはビックリ。(赤矢印のところ) ↑水洗い洗浄後、マジックアイ固定紙がボロボロだったので貼り替えた。 | ||
ボディケアが終わったところで、糸掛けをしてみるとかなり動きが固く、バリコンが原因でしたので、ベアリングの部分に用心深くグリスを注入して動きが良くなりました。 配線作業はまずボロボロの配線材など危ない部分のみ先に修理をしてある程度、電圧を計ってみました。 そこで故障していたことが解り、12AV6のプレート電圧が掛かっていなかったのは250pFの絶縁不良、30A5のバイアス電圧異常(カソード電圧が16Vだった)もバイパスコンデンサー20uF/25V(複合ブロックケミコンの一部)も容量抜けを起こして4uFだったことが判明しました。 これをバイパスし、20uFがなかったので47uF/16Vにしたところ、正常値の6Vになり出力もアップしました。 動作は正常になりましたが、いく分感度が低いのと、選曲中にキャリア音(ピーピー音)が大きく聞き取りにくいため、IFTの周波数ズレを調整して良くなりました。 |
↑動きが硬かったのでベアリング部にグリスを塗った ↑交換したパーツ |
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↑パーツ交換前のシャーシー内部。破裂した跡か、コンデンサーか抵抗のキャップのみが残っている。(赤矢印部分) ↑コンデンサー類交換後のシャーシー内部。照明の配線材も交換してある | ||
↑修理完了後にケース後ろ側に割れ発見 ↑裏側から接着剤を流し込んだところ ↑サンドペーパー+コンパウンドで研磨 |
ところが数時間試聴していると、電源ハムが目立つようになりました。あれ、これ前にもあったな? と言うワケで原因はすぐに解りました。 コンデンサー類を全て交換すると漏れ電流減少により全体の電圧が上がり、それが引き金になってブロックケミコンが破裂はしないものの耐圧内であっても古いがためにダメになるようです。 スペース的に厳しいので、ブロックケミコンのダメになったユニットのみバイパスをして内部に47uF/160Vのケミコンを追加しました。 修理完了後、筐体のカドにヒビが入って割れているのを発見、これはそのままにできないので修理することにします。 以前の修理で溶剤が効かないことは解っていますので、接着剤を使うことにします。 幸い破断面は両面ともピッタリ合っていて破片が落ちたりもしていないので、シアノアクリレート系接着剤を内側から流し込み、念のため24時間ハタガネで固定しました。 完全に乾いてからクリアパネルと同じ、サンドペーパーの番号を上げて行き、最後にコンパウンドを掛けて修理完了となりました。 ↑修理完了後のハム防止でケミコンを追加 ↑もちろん今回もアンテナ線はみの虫クリップ追加 |
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