ナショナル UM-385 その4

ナショナル UM-385 その4





UM-385c正面


UM-385d洗浄前

↑ヒドイ汚れだった。解りにくいがツマミの白がわずかにはがれているのも気になる(2つ)

洗浄後のクリアパネル

↑汚れ落とし後。ツメもほとんど割れてなかった

アクリル板で裏あて

↑強度を保つため内側からアクリル裏板で補強

パテ埋め後

↑割れ部分はどうしても凹みがあるのでパテ埋めした。
 ここままでは目立つのでこの後、塗装することに。


  たま手を出してしまったUM-385です。同じ機種は修理に慣れてしまってるため安いとつい買ってしまいます。

音が出ないジャンク品と言うことでしたが、修理がどうこう言う前に見た目でやることはたくさんありそうです。

どうも飲食店あたりで使われていたようで、この汚れはタバコだけではなく、かなり油っぽいヒドイ汚れでした。

また、フロントパネル左端に2カ所、ビスが見えていますが今まで修理したUM-385にこんなビスありません。天面には割れもあり、分解してみて初めて解りましたが、どうも落下させて割れてしまったようです。

内部のスピーカーリムも割れておりスピーカーの固定ができないので、フロントパネル側からビスを通して固定するように修理してありました。

まずは電気的な修理は後回しにして、筐体の汚れ落としと割れの修理です。分解してみるとダイヤルのクリアパネルのツメもほとんど残っておらず、一度修理のため外した跡がありました。

その時にソニーボンドのようなゴム系接着剤を使ったようで、跡が少々汚く残っていましたので、洗浄後はホットボンドで取付けます。ホットボンドは接着がそれほど強くありませんが、再分解ができるので、また何かあった時に修理ができます。

ところでこの筐体、ABS樹脂だと思っていたらベークライトのようで、溶剤系の接着剤がぜんぜん効きませんでした。ムカシはこのような筐体を全てプラスチックと言っていたのですが、どうりでたわみが少なく固いワケです。

そこで今回はエポキシ系接着剤にしましたので、ただ割れ部分をくっつけるだけでは強度不足の可能性があり、アクリル板を切って裏あてで補強することにしました。

この機種特有のアンテナ板は端子は中途半端にはがされていました。このアンテナ板はそれほど効果が高くなく、結局は外部アンテナを接続しないと使えないこともあって、今回は修理対象から外しました。

ひょっとしてムカシは今ほど鉄筋コンクリートのビルがなく木造家屋がほとんどだったので、これでも効果があったのかも知れません。

指針の軸部分も割れていました。どうも前オーナーが指針を合わせずシャーシーをムリに引き出したようです。

このラジオはシャーシーを取り出す時にバリコンを一番高い周波数側(時計回りに廻して羽根が出るよう)にしてからでないと、指針が筐体から抜けない作りになっています。これをやらないと指針を引っ掛けて割ってしまいます。

割れた破片は残っていましたので接着し、さらに強度アップのためアルミパイプを切って被せることにしました。

複数の種類の洗剤とコンパウンド磨きで金属部分もピカピカになりました。しかしツマミはわずかに白塗装がはがれており、キレイに磨いても気になっていましたので、最終的には白塗装を全てはがし、黒い部分を出してピカピカに磨きました。

筐体の洗浄と修理が終わりましたので、やっと電気的な修理です。

音が出ないとのことでしたが原因はすぐに解りました。なんと球の位置の挿し間違いよるものでした。この機種は裏ぶたを開けた状態で見て一番左が整流管35W4と言うレイアウトで、通常の他のラジオのように一番左が12BE6だと思っていると大きな間違いをします。

球レイアウト図も貼られてはいますが、間違いやすい本機の場合、他社のようにシャーシーに刻印して欲しかったものです。ナショナルさん。

また間違えると危ないので、シャーシーに球名を油性マジックで書いておきました。

ただ、ノイズも多くどのみちコンデンサー類、ナショナルのラジオ特有のバリコンゴムの劣化照明の配線材、切れた照明用電球、ゴムブッシュなど全て交換する必要があるので、それらをやってから再度状態を判断することにします。

また、アンテナ線をみの虫クリップにしたり、電源スイッチを利用してマジックアイのオン/オフできるようにするなど、今までやってきた小改造も一緒にやってしまいます。

本当はOFF→ON(マジックアイOFF)→ON(マジックアイON)にしたいのですが、この機種の電源ロータリースイッチの接点構造上できないので、OFF→ON(マジックアイON)→ON(マジックアイOFF)になってしまいます。

予想通りなんですが、やはりこれでノイズもなく、ちゃんと受信できるようになりました。

ところが数時間試聴していると、いきなり「ブーン」と電源ハムが発生するようになりました。修理により全体の電圧が上がったことが引き金になってブロックケミコンがダメになったようです。

調べてみるとブロックケミコン3ユニットのうち、ブロックBの50uFが完全に容量抜けを起こして23pF程度になっていました。抜ける時は徐々にと思っていましたが、いきなり抜けることもあるようです。

ブロックケミコンはそのまま残しますが配線は外してダミーにします。代わりに3つのケミコンをシャーシー内部に追加しました。電源ハム対策でBは100uFに少し容量アップもしています。

  指針の修理

↑指針の軸も割れていたため接着後、アルミパイプで補強

交換したパーツ"

↑交換したパーツ


パーツ交換後のシャーシー内部

↑コンデンサー類交換後のシャーシー内部。このレイアウトではハムが完全に取りきれなかったため、
 この後、33uFのケミコンは左の方へ移動した。
 またアンプから外したオーディオ用のフィルムコン(黄色の2つ)を使っている



UM-385リア

  マジックアイは通常、スプリングで固定してあるはずですが、前オーナーが以前分解した時に紛失してしまったようで、固い針金で固定してありました。これではマジックアイが可哀想なのタイラップに交換しました。

最後に汚れたツマミのフェルトも新たに切り直して交換して修理終了としました。


背面内部


→ もどる